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映画「雪道」は2015年、KBS韓国放送公社が制作した光復70周年特集ドラマを再編集し、2017年に映画化した作品です。他の韓国映画と同様、国際的に高い評価を受けました。(世界最大の国際テレビ番組の祭典の1つであるバンフワールドメディアフェスティバルにおいて最優秀作品賞。中華圏3大映画祭にあげられる金鶏百花祭で最優秀作品賞、主演女優賞をキム・セロンが受賞する快挙を成し遂げました。イタリア賞でTVドラマ・TV映画部門のイタリア賞を受賞、アメリカでも上映されました。)

残念ながら日本では数回の自主上映にとどまり、作品を見た人が「もっと多くの人々に観てほしい」「映画館での上映を進めてほしい」という声が上がっていました。

作品は、天才子役と言われたキム・ヒョンギ、キム・セロンが15歳の時に出演、現代の元慰安婦役として韓国最高齢の女優キム・ヨンオク、昨年世界的に話題になった「イカゲーム」にも出演、今年4月に初めての主演映画、「Take Care of Mom」が上映されるなど、輝きを増しています。

「慰安婦」がテーマですが、勇ましく日本軍の蛮行を糾弾し、悲惨な場面を訴える内容ではありません。作品のエピソードは元慰安婦の方々の証言が元になっています。また、当時の創氏改名や日本語教育など、事実に即しています。

主人公のヨンエ(キム・セロン)は、立派な皇国臣民になろうとする姿が描かれています。当時の日本による植民地支配がリアリズム表現され、反日映画としてのレッテルを貼ることはできないはずです。この作品の監督、脚本、プロデューサー、主な俳優は全て女性です。

そして、その最大のテーマは過去から現代においても、世界は女にとって不利にできている。”女性という性”の解放です。

作品で描かれた他人の心の傷に寄り添おうとする気持ちが出発点となり、世界的な”Me Too”、”With You”と共鳴できる内容です。

この雪道が日本列島各地で上映されれば、日本と韓国の希望となるでしょう。

韓国映画「雪道」

題名:雪道
上映時間:121分
韓国封切:2017年3月1日
監督:イ・ナジョン
脚本:ユ・ボラ

出演
キム・ヨンオク(チョンブン役)
キム・ヒャンギ(少女チョンブン役)
キム・セロン(ヨンエ役)
チョ・スヒャン(ウンス役)
ソ・ヨンジュ(ソ・ヨンジュ役)
チャン・ヨンナム(チョンブンの母役)

ストーリー

1944年、忠清南道の江景(カンギョン)という村に暮らす2人の15歳の少女。貧しい家で母と弟と暮らすチョンブン(キム・ヒャンギ)。地主で裕福な家のヨンエ(キム・セロン)。ヨンエは女子勤労挺身隊に選抜され、日本の工場に行くことを決める。

チョンブンは、そんな運命がうらやましく思っていたところ。悪徳ブローカーに日本行きを誘われる。チョンブンはそのブローカーに夜、襲われ、ヨンエは日本行きを騙され、中国の牡丹江にある日本軍の慰安所に連行される。そこでの悲惨な日々、「獣のように生きるのは嫌!」とヨンエは自殺を試みるが、チョンブンがとめる。2人は慰め、慰められ、耐えていく。そして、脱出の機会が訪れる。

キャスト

キム・ヨンオク

生年月日 1937年12月5日
韓国最年長の女優と言われ、デビューはテレビドラマ「剣と花」。それ以降は出演多数。近年はドラマ「海街チャチャチャ」や「イカゲーム」の主人公の母親を演じるなど世界的にも知られる。
本年4月には、初の主役として映画「Take Care of Mom」が上映され、その存在は輝きを増している。

キム・ヒャンギ

生年月日 2000年8月9日
2003年に広告モデルとして芸能界デビューし、2006年、映画「マウミ」で本格的に女優として活動を始める。 2018年には、ドラマ「神と共に」シリーズを通じて「第39回青龍映画賞」女優助演賞を受賞。同年、漢陽大学の演劇映画学科に合格。 2019年、映画「無垢なる証人」での自閉症の少女ジウを演じ、「第39回韓国映画評論家協会賞」、「第9回黄金撮影賞」などで最優秀女優を受賞。 映画「雪道」では、「最初はその方々の痛みと悲しみを上手に演じることができるかと心配だったが、絶対忘れてはならない事実を描いている作品で、私だけでなくても誰か必ず演じなければならない作品だと思ったので、勇気を出して出演した」と語っている。

キム・セロン

生年月日 2000年7月31日
9歳の頃から子役として活動を始め、映画初主演の「冬の小鳥」でカンヌ国際映画賞に韓国映画史上最年少で招待された。 2010年、映画「アジョン」では大韓民国映画大賞新人女優賞を史上最年少で受賞した。 2014年、映画「私の少女」では第35回青龍映画賞新人女優賞、黄金撮影賞新人女優賞を受賞。 2021年、テレビドラマ「優秀巫女カ・ドゥシム」のカ・ドゥシム役で主役。 現在、中央大学校演劇映画学科に在学。 映画「雪道」で金鶏百花祭の主演女優賞を受賞、作品について「地方で真冬に撮影し、とても寒くて大変だったが、その方々のことが頭に浮かび、とても辛いとは思えなかった」と語っている。